ただ淡々と展開する実写映画——『ピューと吹く!ジャガー THE MOVIE』
うすた京介の漫画『ピューと吹く!ジャガー』の実写版。「なぜ実写に……?」という困惑を感じつつも、うすた好きとしては一度は見ておかねばと今更ながら視聴。
【ネタばれです。】
ギャグ漫画のレジェンド
自分にとってうすた京介との第一種接近遭遇は『セクシーコマンドー外伝 すごいよ!!マサルさん』だったと思う。とにかく今までに読んだことのないギャグ漫画で、毎話読むのが楽しみだった。フーミンこと藤山起目粒、モエモエこと北原ともえが当時のお気に入りキャラだった。あとセガのロボピッチャ。あとメソ……。個人的にはクリスマス回が一番好き。のちにアニメ化されたが、オープニングテーマがPENICILLINの『ロマンス』だったので、「オープニング映像だけは知っている」という人も多いのでは。
日本のギャグ漫画と言えば、赤塚不二夫など偉大な先人たちが綺羅星のごとく存在するが、うすた京介は1990年代を代表する一人だと思う。一時期、うすた京介フォロワーみたいなギャグ漫画が大量発生したし、1990年代のギャグ漫画は文字通り「うすた以前」「うすた以後」で二分されると言っても過言ではないと思う。
しかし、だからといってなぜ「ジャガーさん」を実写化するんだ……? どすこい喫茶……ジュテーム……? どすこい喫茶! ジュテーム!
なぜ実写化……?
本作は、ただただ淡々と展開する。原作にあったエピソードをぶつ切りでぽつぽつと織り交ぜつつも、特に盛り上がりもなく、特に笑えるシーンもなく、ただただ淡々と話が進む。そもそも、実写にしてしまうと漫画のようなボケとツッコミは当然不可能なので、明らかにテンポが悪い。あとハミィこと夢ノ森眠都がでかい。
三太夫セガールになぎら健壱キャスティングしたり、板尾創路演じる影千代先輩の外見が激似だったり、要潤や小木博明をはじめ演者は割と真剣に演じているように見えるのだが……。イタオ・ド・ミテモホンニーン! しかし、なぜカルーセル麻紀……。
やっぱり、ギャグシーンを実写にするのは……無理があるんじゃないかな……。ボスケテ……。
要潤の代表作
ただ、主演の要潤は、かつて本作を自身の代表作として挙げていたことがあった。常識的な役者なら、黒歴史としてなかったことにすると思うが……。この一点だけで、要潤、信用できる漢だなと思った。男なら、ナイス要!
原作知らない人が観たら全然面白くないだろうけど、原作好きな人が観ても笑うところほぼゼロだと思う。原作は面白いのに……。